「胎教 」ってホントに必要?~おなかの赤ちゃんに話しかけるのが苦手な初マタさんに

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「おなかの赤ちゃんのことがかわいいと思えない」「赤ちゃんに話しかけるのが苦手」。そういう初マタさんは多いもの。妊娠中だから毎日Happyな気分でいられるとは限らないですよね。それでもかわいいと思えない自分を恥ずかしく思ったり、「話しかけなくちゃ」とプレッシャーを感じるのはなぜなんでしょうか。

ひとつには「胎教」ということばがちらつくからだと思います。「胎教」ってどんなことをしたらいいの? それ以前に本当に必要なの? あらためて「胎教」について考えてみました。

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「胎教 」の始まりは紀元前2世紀の中国

もともと「胎教」の発祥は古代中国。紀元前200年ごろ、秦から前漢の始めごろに書かれた『胎産書』という医学書が、その始まりではないかといわれています。そこには、妊娠月齢ごとに赤ちゃんの成長過程などが書かれてありました。妊娠3カ月では、男女の産み分け方や、うさぎやしょうがなどの食物禁忌も記されていて、母親の行動が直接赤ちゃんに影響するという考え方がうかがえます。

「母親の行動がおなかの赤ちゃんの成長に影響する」。この考え方は、後年、儒教の教えに取り入れられました。「胎教」ということばが使われるようになったのは、前漢(紀元前206年 – 8年)時代に書かれた『青史氏之期』。赤ちゃんが聖人君子になるように、母親は正しい行いをして、礼儀正しく過ごすようにと説かれています。

「胎教」について書かれた本は、日本にも医学書として6~8世紀ごろに伝わってきました。ここにも書かれているのは妊娠中の食物などの禁忌が中心で、「胎教」は教育よりもむしろ安産のための心得的なものだったようです。

近代の「胎教」は一種のエリート教育、いい子に育てるためのステップというイメージがあります。ちょっと前に評判になったのはアメリカのスセディック夫妻。夫妻はおなかの赤ちゃんに楽しく話しかけて育てたら、子どもたちが天才児になったという経験を本にしています。(「胎児はみんな天才だ―最新の胎内教育 “子宮対話”の驚異 (ノン・ブック) ジツコ スセディック」)。スセディック夫妻は天才児を育てるために話しかけたわけではありませんが、天才児を育てたくて、まねしてみた人は多かったのではないでしょうか。

「聖人君子に育てたい」「天才児に育てたい」。時代が移り変わっても、子どもに対する親の期待や愛情は変わらないもの。妊娠中の努力でなんとかなるものなら、という母親の切実な気持ちや責任感が「胎教」へ向かわせているのでしょう。

「おなかの赤ちゃん」に話しかける意味ってある?

胎教
おなかの赤ちゃんに意識が芽生えるのはいつなのでしょう。中には妊娠前の記憶、胎内記憶があるという子もいますね。本当なんでしょうか。・・・それはまた別の話として。

医学的には、聴覚が発達して血流が聞こえるのは妊娠20週。24週になるとおなかの外の声も聞こえるといわてれいます。ただ、ママやパパの声が音として聞こえたりしても、当然言葉の意味がわかるわけではないでしょう。「話しかける意味があるの?」と聞かれれば、なさそうな気もしてきます。

実は、21世紀になっても「胎教」に科学的根拠はありません。遺伝や出生後の環境などの条件をそろえて、「胎教」の有無だけで比較検討する実験はできません。だから無理に「胎教」するべき根拠はないんです。

でも「胎教」として勧められていることには、プレママさんの気持ちを落ち着かせ、リラックスさせる要素がたくさん含まれています。妊娠中に穏やかな気持ちで健康に過ごすことは、ママにも赤ちゃんにとっても大きなプラス。迷うようだったら、試してみてもいいのではないでしょうか。「自分と赤ちゃんのために」努力するという体験も、子育てへと続くプレ体験として、プラスになるのかもしれません。

「胎教 」向きの音はゆらぎ効果で選ぶ

胎教向きのクラシック音楽

胎教といえばクラシック音楽というイメージがありますね。リラックスしているとき、私たちの脳内にはα波が現れるといいます。実験してみてそのα波がよく出るという結果になったのが、モーツアァルトやバッハなどのクラシック音楽です。

クラシック音楽が安らげる理由。その鍵になるのが「 1/fゆらぎ 」です。小川のせせらぎとか木々のざわめきなどを聞くと、気持が安らぎますね。それは規則正しいリズムの中に不規則なリズムがまざるから。そのゆらぎ具合が私たちの生体リズムに合っていて心地よいのです。

音の高低や強弱の中にもゆらぎが生まれ、心地よくさせてくれます。とくに弦楽器の音は「 1/fゆらぎ 」が生まれやすい性質があるので、クラシックには「 1/fゆらぎ 」を持つ音楽が多いんですね。

おすすめの曲はモーツァルトの 「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」 「ディヴェルティメントニ長調K136」 、バッハの「G線上のアリア」、パッヘルベルの「カノン」、ヴィヴァルディ「四季より『春』」など。クラシックではなくても、声で癒されるエンヤの楽曲などもおすすめです。

読み聞かせや話しかけは自分らしいスタイルで

読み聞かせや話しかけも「胎教」にいいとされています。赤ちゃんが生まれたら、絵本の読み聞かせや話しかけはぜひしてあげたいこと。その練習と思って、体調のいいときに試みてみるといいですね。

胎教の読み聞かせ向きの本として、親子の絆を描いたものがすすめられています。「どんなにきみがすきだかあててごらん」サム・マクブラットニィ/アニタ・ジェラーム作(評論社)、「おなかの赤ちゃんとお話ししようよ 」葉 祥明作(サンマーク出版)、「かみさまからのおくりもの」ひぐちみちこ作(こぐま社)、「ちいさなあなたへ」リスン・マギー/ピーター・レイノルズ作(主婦の友社)など。妊娠中に読んでみると、ひときわ感激するかもしれません。

でも、話しかけるのが恥ずかしい、絵本を声に出して読むのが苦手など、ストレスに感じてしまうなら、無理にすることもありません。実際に生まれてきたら、話しかけも自然にできるようになっていくもの。妊娠中からしなければダメということはないんです。好きな歌詞を読むなど、自分らしいスタイルで大丈夫ですよ。

散歩やマタニティビクスも広義の「胎教」

胎教 マタニティビクス

散歩やマタニティビクス、マタニティスイミングなどの運動は、適切に行うと血流がよくなり、お産に必要な柔軟性や体力をつけたり、ストレスを解消してリラックスさせる効果があります。ママの体調を整えることで、赤ちゃんにもいい影響がありますから、広義の「胎教」というとらえ方がされています。

普段から運動に慣れている人はいいですが、慣れない運動で疲れてしまったり、ノルマのようにこなそうと頑張るのは、かえって逆効果になることも。気持よかった、楽しかったと思う程度がおすすめですよ。

胎動がはっきりしてきたら、赤ちゃんがキックしてくれるのを期待して、おなかをトントンしたり話しかけたりする遊びもプレママさんに人気。たたいた場所を蹴ってくれたり、たたいた数だけ蹴り返してくれるとうれしくなります。でも、これもコミュニケーションがとれているかどうかはよくわかっていません。楽しむ時間を持つのはいいことですが、たとえ反応が少なくてもがっかりしないで。よく動くのもじっとしているのも、その子の個性です。

おなかの赤ちゃんに、働きかけてあげたいという気持ちは大切です。でも「胎教」ということばに振り回されて、ストレスの種を増やしてしまうのは本末転倒。妊娠中というスベシャルな時期のお楽しみとして、無理のない範囲でアブローチしてみてくださいね。

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