赤ちゃんの気持ちがわかる「 おしゃぶり センサ 」はドラえもんのひみつ道具になれるのか?

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泣いている赤ちゃん

 

どうして泣くの? 何が気に入らないの? ママに何がしてほしいの? 

何をやってもご機嫌が治らなくて、赤ちゃんの気持ちを本気で問いただしたくなることってありますよね。ドラえもんのひみつ道具で圧倒的に1番人気なのはどこでもドアですが、ママになりたての人限定だったら、赤ちゃんの気持ちがわかる道具のほうがランキング上位になるかも。

ドラえもんがやってきた22世紀を待つまでもなく、赤ちゃんの気持ちがわかる未来型のデジタルおしゃぶりがもうすぐ実用化しそうです。その名は「おしゃぶりセンサ」。

 

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「 おしゃぶり センサ 」って、どんな道具?

「おしゃぶりセンサ」は、見た目はちょっと大きいおしゃぶり。乳首に距離センサと赤外線センサが内蔵されていて、このセンサで赤ちゃんの口の動きや吸い方を測定し、「眠った」など赤ちゃんの情報を無線でスマホに知らせてくれる装置です。

ピーハンドットコムが主催するものづくりコンテストMUGEN2014で、課題解決ができて、実用性・商品性が高いアイデアとして大賞に選ばれました。デモ動画はこちら。

測定したおしゃぶりの吸い方をパターン化して、「寝ました」とか「そろそろ泣く」とか、赤ちゃんの状態がわかるところがスゴ技!!

開発者は東京大学大学院の研究員石井健太郎さんと、慶應義塾大学大学院の尾形正泰さん。もともと「おしゃぶりセンサ」は、東京大学の研究室「赤ちゃんラボ」の実験装置として考えられたもの。「生後数か月の赤ちゃんが、口で何かをコントロールする力があるか」ということを調べるために作ったそうです。

実用化されれば、さらに吸い方のデータを収集してパターン化し、もっと複雑な状態や感情を把握できるようになる可能性があります。石井さんたちはデジタルおしゃぶりとして特許を出願し、実用化・商品化に向けて開発を進めています。

ユーザー層の反応は案外クール。その理由は?

・「おしゃぶりセンサ」を知った人のツイート

受賞後に、ネットの記事やテレビ朝日の「くりぃむクイズミラクル9」、テレビ東京の「ワールドビジネスサテライト トレンドたまご」などで紹介された「おしゃぶりセンサ」。これを見たネットの反応はどうだったでしょうか。

あれ?

子育て中らしい人たちの意見は案外クール。「何を求めているかはわかる」というツイートが結構ありますね。確かに生後3~4カ月ごろになると、ママやパパも育児に慣れてきて、赤ちゃんにも生活リズムがついてきます。現段階のおしゃぶりセンサが教えてくれる程度の情報なら見れば判断できるし、あまり利用価値を感じないのかも。

・使いたい新生児期には、使うのをためらう理由が

じゃあ、生まれてすぐの赤ちゃんのママだったら欲しいのでは? そう思うのですが、実は、このグッズ、新生児には使いたくても使えない理由があります。

母乳育児のために、WHOとユニセフが世界の産科施設に向けて出した10カ条の提言がありますが、その中に「母乳を飲んでいる赤ちゃんにゴムの乳首やおしゃぶりを与えないこと」という項目があるのです。なぜなら、まだおっぱいを上手に飲めないうちにゴム乳首の感触や飲みやすさに慣れてしまうと、ママの乳首を拒むようになることがあるから(乳頭混乱)。母乳育児をしたいと思うなら、授乳間隔が決まってきておっぱいがたりていると感じるころまでは、おしゃぶりを避けておきたいところ。早くても、6週間くらいは控える必要がありそうです。

・おしゃぶりの長時間&長期間使用はNG

おしゃぶりをする赤ちゃん

おしゃぶりの使い方にはほかにも問題があります。

2006年、おしゃぶりの長時間・長期使用で歯列やあごが変形するなどの障害が残った被害者と母親が、販売会社のコンビに対し、損害賠償を求めて提訴。裁判は2008年に和解が成立しましたが、このおしゃぶり訴訟の時期と前後して、おしゃぶりの長時間・長期使用による健康被害がクローズアップされました。

「小児科と小児歯科の保健検討委員会」では、2005年1月におしゃぶりについての見解を発表しています。発達面では、おしゃぶりを常時使用していると、手にしたものをしゃぶることで得られる学習の機会、言葉を自分で出す機会が減ってしまうことが心配されています。歯並びやあごの発達の面からは、遅くとも乳歯が生えそろう前(2才半)におしゃぶりの使用をやめるように勧めています。日本小児歯科学会 おしゃぶりについての考え方

母子健康手帳も平成19年度版では「おしゃぶりの長期間の使用によるかみ合わせへの影響について」の記述を追加して、注意を促すようになりました。こういったことから、「おしゃぶりセンサ」も「赤ちゃんモニター」として使うのは抵抗があるのではないでしょうか。

「 おしゃぶり センサ 」の展望

「おしゃぶりセンサ」はドラえもんのひみつ道具になれない。

そう結論づけるのは早いと思います。

赤ちゃんにもよりますが、おしゃぶりは心を落ち着かせ、寝かしつけることができる強力なアイテム。「おしゃぶりセンサ」も、ぐずるとき、寝かしつけるときの道具として使いつつ、「おしっこがたまっている」「おなかがすいている」とか「体温が高い」「脈拍が早い」「身体に痛みがありそう」などのからだ情報が収集できるようになったら、とても便利なのではないでしょうか。提供できる情報しだいで、トイレに誘うタイミングをつかむなど、トイレトレーニングを進めるヒントにもできるかも。

さらに、ハンズフリーの入力デバイスとしての使い方も魅力的。身体の不自由な人のコミュニケーションツールや、ハーモニカみたいな新しいデジタル楽器とかどうでしょうか。脳卒中などで、口腔機能に障害が起きた人の診断やリハビリにも役立つかもしれません。

「おしゃぶりセンサ」はおもしろいアイデア。どんな形になったとしても、未来のふつう、「ドラえもんの道具」になるのを見てみたいと思います。

参考

GUGEN2014

テレビ東京 ワールドビジネスサテライト トレンドたまご

東京大学新聞オンライン 赤ちゃんの気持ちがわかるデバイス!? 「おしゃぶりセンサ」開発、石井健太郎 特任研究員インタビュー

GUGEN2014大賞受賞、赤ちゃん研究から生まれたおしゃぶりセンサのこれから fabcross

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